野村美月『“文学少女”と恋する挿話集(エピソード) 3』(ファミ通文庫)

 前半は正直、どうと言うほどのこともないベタ甘なだけの短編にも思えるんだけど、一つ一つが、本編のあの話にその話に前日譚なり後日譚として繋がってると思うと、一気に味わい深くなるな。で、一編ごとに本編のあっちこっちを読み返す羽目になって、まぁ読み切るのに時間のかかること。
 で、後半の竹田さん話がいいねぇ。あの子の歳から考えると本編終了から7〜8年ってところかな。いつかはホンモノになるかもしれないよって、「かもしれないよ」って、その間もずっと変わらず同じ苦悩を抱えてて、いまだに抱えてるのか。もっとも、過剰な感情移入をせずに(というかゼロで)、でも人の感情について敏感ってのは、確かに教師は天職なのかな。

“文学少女”と恋する挿話集3 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集3 (ファミ通文庫)