三輪山和『黒猫曰くメイドは微笑む』(幻狼FANTASIA NOVELS)(透明部ネタバレ)

危機的な状況にあって、助けを呼ばないのは愚かだ。必ずしも自分だけで解決することが美徳とは限らない。なぜなら、頼られなかったことで悲しむ存在がいないとは限らないからだ。

 人外と人外の人情話、か。いい雰囲気。謎解き抜きで進める手法もいい感じ。ただ文章が硬いというか機械的で読みにくい。↑の引用部、「限らない」を重ねるなんて、初歩の文章作法違反だけど、分かっててあえて何らかの効果を狙って重ねてるわけでもないよな、これ。大幅改稿のうえ、満を持しておいてこれでは、元の応募作はもっと凄かったのかしら? ま、逆に言えば、それでも読ませるだけのパワーがあるのは確かではある。
 ところであのお屋敷、電気が通ってて近所で買い物が出来るからには、それなりに現金がある筈なんだが、ご主人が稼いでるとは思えんし、まさかメイドが内職やってるんだろーか。とするとひょっとして、「もう一人使用人がいても良いんじゃないか、ってな」って格好いい台詞、実は内職の人手が欲しいからだったりして……