柳内たくみ『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 1.接触編』(アルファポリス)

 ファンタジー小説って軍隊同士の衝突が少ない 2での紹介がちょっと気になってググり、巻数表記が「1 接触編」、*1 その英文表記が「1:CONTACT」なのが琴線に触れたので購入。現代日本に異界との通路が開いて街が阿鼻叫喚ってのは『迷宮街クロニクル』を彷彿とさせるし、*2 あらすじから受ける印象は「多少は真面目な『覇壊の宴』」。
 と、まるでどこかで見たような構成要素ばっかりが良いみたいに書いてるけど、もちろん作品自体も実に面白かった。えげつない殺し合いとどシリアスな政治劇とお笑いパートのバランスも、向こう側の世界とこっち側の日本の描写のバランスもよくできてる。ちゃんと一冊の締めをバトルでなく神経戦に持ってくるあたり、分かってるよねぇ。どうやらこの後に炎龍編・冥門編ってのが続くようだが、実に楽しみ。
 あと希望としては、どっかで『銀座事件』〜『二重橋濠の防衛戦』を大マジで書いてくれたりしないかしら。自衛隊が出動して掃討がはじまるまでの、機動隊の奮戦っぷり、きっと『海の底』に匹敵する凄まじいものだったに違いない。

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編

*1:「篇」でないのが惜しいっ!!!

*2:ついでに、オリジナルはネット上で展開され、今は派生SS以外は読めない、というのも共通点だな。