川口士『漂う書庫のヴェルテ・テラ 3』(富士見ファンタジア文庫)

 第一部完だそうだけど、微妙に「俺達の戦いはこれからだ」臭が漂うなぁ。本編から遊び成分がほとんど抜けて主軸のストーリー一辺倒になって、*1 なんというか、余裕が感じられない。面白いし一気に読めるぐらいには引き込まれるんだけど、明かされた復讐の動機とラスボスの目論見の壮大さのバランスがなんか悪いような気がしてならん。だいたい、その動機で復讐しようってのに、それに幼なじみ連中を巻き込んでどうする?
 相変わらずイラストはひどい。カラーのサリナは左手に短剣を持って自分の脇腹に突きつけてそうだし、表紙のリシェルはどういう骨格をしてるのか考えるとどんどん怖い考えになるし、*2 カラー見開きのラフィは完全に遠近感が崩壊。思わずスキャンしてアップローダーにあげて(;´Д`)<デッサン狂いすぎじゃないかそのCGは。55に晒したくなってくる。
 あー、無事に作中時間数年後の第二部がはじまるんなら、心機一転のためとか何とか適当な理由をでっち上げてでも、イラストレーター交代させてくれないかなぁ。

漂う書庫のヴェルテ・テラ3 (富士見ファンタジア文庫)

漂う書庫のヴェルテ・テラ3 (富士見ファンタジア文庫)

*1:その分、あとがきで補完を試みたんだろうけど。

*2:特に脊椎と頸骨の角度や取り付け位置、これ、人間の骨格じゃなくムザン星人だよ。