SF Site News » Obituary: James P. Hogan

 かなりショック。まとまらないけどつらつらと。
 『星を継ぐもの』、(ジュブナイル以外で)SFといえば星新一スタートレックだった高校生の俺に本作を勧めたの誰だっけ。読後のあまりの衝撃に、誰に勧められてお小遣いをはたいたかの記憶を吹き飛ばされたに違いない。『ガニメデの優しい巨人』でガニメアンのメンタリティの地球人との違いとその進化論的根拠に目からウロコを百枚落とし、*1 『巨人たちの星』のゾラックちゃんの大活躍*2に手に汗を握ったのも、いまだにその感情を思い出せる。
 『創世記機械』の、宇宙の真理の探究と世界的危機の克服があれよあれよという間に結びつく目眩く展開、いまにして思えば「セカイ系」のハシリだったりして。んでJ兵器の無敵無双っぷりは中二病の先祖。『未来からのホットライン』もそういう印象が。
 『未来の二つの顔』、そんな動力も機構もあり得ないんだけど、なぜか俺の脳内イラストでは、ドローンはYouTube - SPHERES Testbed Cyclic Pursuit Formation Flightみたいな感じで空を飛ぶものになってるなぁ。どういう刷り込みなんだろう。
 と、印象に残った作品を挙げて作品リストを見ると、ここまでで1983年。その次が『プロテウス・オペレーション』になるのか。これがなぁ、コロニーの謎解きにはwktkしたけど、しかしそれだけだったんだよな。そしてそれ以後はムニャムニャ。

ハードSFというより「ト」ラディショナルSFと言った方がしっくりくる作風だったと思います.

ファンタジーではないんですけど, 現代の科学的知見を押さえた上で話を構築するハードSFとは異なり, 面白ければそこからはみ出ることもいとわないような所が散見されたり.
「星を継ぐもの」シリーズを、「理系のユートピア」だなぁと思いながら読んでいました(「理系」なんてくくりは日本だけだとしてもね)。
科学者っつーか、技術者が英雄になれる社会なんて、現代日本の住人から見ると、それだけでSFというか。

「星を継ぐもの」の世界の人間は、理性的な人ばかりで、科学を嫌悪して情緒を優先する人がほとんど目に付かない。
大衆も、投資家も、政治家も、「そんなのは単なる理屈だ!俺の気持ちをどうしてくれる」とか、「あいつらは嘘をついているんだ!俺たちには理解できないと思ってだましているんだ!」みたいな連中の気配もない。そして主人公たち技術者は、頭脳明晰なだけでなく、決断力と交渉力と行動力を兼ね備えている。なんとうらやましい世界か。

*1:なので『断絶への航海』のアイデアはストンと腑に落ちたし、逆に『造物主の掟』のタロイドのあまりな人間っぽさには、もちろんそれを狙って書いてるとわかっててもなお、いまだにちょっと違和感が。

*2:「タリー・ホウ!」