あざの耕平『神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット』(GA文庫)

 第一話:創作者の苦悩、第二話:批評家への怒りと「売れること」の業、いやぁ、相変わらず飛ばしてるな。なんつーか、ぜひ、これを読んだ同業者の感想を見てみたいもんだ。
 そして第三話。真面目でシリアスで良いお話しなんだけど、いつもの人たちの会話が楽しすぎて、もう。

「大丈夫です、ユフィンリーさん! サリエルさまを信じてください!」
「ごめんなさい、モモちゃん。申し訳ないんだけど、それってかなりハードなハードルだわ。少なくとも私には荷が重すぎる」

で、サリエル先生格好いい!!! 思わず「先生」をつけなきゃならん気になるほど格好いい。「実際そうだろう? アマディアは子供だ。さもなきゃ−−」からはじまる大見得、そしてその後の詐欺師っぷりとスパルタ教師っぷりと最強のツンデレキャラっぷり、確かに「紙一重」タイプだわ。
 しかしこれで本シリーズも一旦は幕引きか。確かにサリエルにもアマディアにもそれなりのオチがついたわけで良い区切りではあるんだけど、延々と大長編を続けるタイプのお話しでないんだけど、黒と金は不幸な永遠の中断、白はクライマックスに向け疾走中、一気に寂しくなるな。せめて赤青がもうちょいハイペースで出れば……てか、作者が他シリーズでとんでもないペースで書いてて手が回らなくても仕方ないと思える赤はともかく、青はやる気あるんだろーか? とりあえずのテコ入れでエイフォニックの文庫化とかリプレイ第3弾とか来てくれないものかしら。