鮫島くらげ『ななかさんは現実』(ガガガ文庫)

 久々に出会った超地雷。*1 二次元と三次元の恋の違いを描こうと挑戦した意欲作。そのテーマが明確に描かれて提示されている点が非常に好感を持てましたという選評から、ちょっとは気の効いた捻り方や変わった視点のある変なものを期待して手に取ったんだが……最後まで読み切ることすら不可能。
 サブカル系の既存作品のネタやオタクなネタを散りばめるの自体は嫌いじゃないんだが、現に『ニャル子さん』なんかは実に楽しく読めるんだが、単にこの作者の料理の仕方なり出し方が俺に徹底的に会わないのか、ともかく読んでてウンザリ。要は、『ニャル子さん』等は「おもしろい話にそういうネタを散りばめた」もので、本作は「そういうネタを散りばめて面白くしようとした」もの、その両者の間には越えられない壁がある、ということなのだろう。食材(元ネタ)が珍しければOKで評価した竜騎士07先生、罪作りな奴という感想に心底から同意。

ななかさんは現実 (ガガガ文庫)

ななかさんは現実 (ガガガ文庫)

*1:昔こんなことを書いたことがあるが、前言撤回。確かにエントリにしたくなる地雷というものは実在した。例え、せめてネタにでもしないと、地雷に払った金があまりに惜しくて悔しすぎる、という理由であっても。