“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕

 ……面白い試みだとは思うけど……MFとかCノベとかがやってるような、最初の一折りぐらいを「立ち読み」として公開するやり方ならともかく、全文を期間限定で公開って、「手元に置いておいて折に触れ読み返したい」、あるいはせめて「次巻もぜひ読みたいし、その時には読み返すだろう」と読者に思わせるだけのパワーがある作品でないと販促にならんような。*1 
 で、実際に読んでみて、本作にそれだけのパワーを感じたかというと……ゲフンゲフン。あと、やっぱ「ちょっと前のページに出てきた記述なり設定を確かめるためにパラパラやる」ことができないってのは、かなり致命的に思えるな。少なくとも、変わった設定とか謎解きとかが話の根幹に関わるような、あるいは時系列が頻繁に入れ替わるようにシャッフルされてる物語に関しては、このユーザーインターフェースじゃダメだ。*2 一応はそのために付箋機能を用意してるんだろうけど、それでも「指でパラパラ」には遠く及ばん。これがFlashとかでなく普通にテキストなりPDFなりHTMLで、いつでもコピペするなり、同一箇所を開いた状態でウィンドウorタブを複製したりできるんであれば、かなりマシなのかもしれんが。
 あと個人的好みとしては、全機能にキーボードショートカットが欲しい。少なくとも、『次のページ』『前のページ』にNとP、もしくはSpaceとSHIFT+Spaceぐらいは必須で。

*1:ついでに、途中で読むのを止めるためのハードルも低くなりそうで、それって、尻上がりに面白くなったりラストに凄いどんでん返しがあるようなタイプの作品だと不利だろうなぁ。

*2:事典とかリファレンスとかのその一項目で完結するもの、あるいは一篇が一見開きで完結する掌編集とかなら、このUIでもOKかもしれん。