アズサヨシタカ『ただ、災厄を狩る剣のように ナイツ・オブ・ザ・フリークス first act』(ファミ通文庫)

 本編中で何度か「特撮ヒーロー」という形容がなされるが、なるほど、まさにこいつら、古き良き石ノ森ヒーローの系譜に連なる者どもだな。悪しき力をその身に宿して悪を討つ。
 しかし新人のデビュー作でここまで分厚い上にあからさまに「続く」ってのも珍しい。ま、すでに次を出す予定は立ってるようなんでそれだけの自信を持って送り出したんだろうけど、どーだろーねー。よくあるパターンに過剰な装飾が施されてるだけ、という気がしないでもないんだが。バトルの対戦相手はろくな伏線もなく唐突に出てくるし、さんざん仄めかされるラスボスは影も形も見えてこないし、シズ姉は中盤以降完全に空気だし、イラストは何度も何度も言及されるリンの瞳の色を完全に無視してるし、このうちいくつかは続刊が出ればそこで回収されるんだろうけど、本書単独としてはなんとも荒削りかつ未完成品と言わざるを得んなぁ。