藤原祐『煉獄姫』(電撃文庫)(透明部ネタバレ)

 新作! 主役2人がとてつもないチート能力持ちでしかも体制側の犬。これで普通にバトルをやってたんじゃあ緊迫感の欠片もないわけで、その分、これでもかこれでもかと精神的に追い込まれる。黒いねぇ、うん、期待通りどころか期待以上に黒い。
 ところで、読んでる途中はアルトに「レジミル」の硝子のイメージが重なってたんだけど、読み終わってみると、それはむしろフォグの方なのだな。この作者の男性主人公にしては珍しく優柔不断さを感じないと思ったら、人ならざる存在である自分に存在意義を与えてくれたもののために尽くすキャラだったわけだ。だとするとこの後、その意志を同種の存在である『群体』によって揺さぶられまくる展開になるのかな? いやぁ、さらに真っ黒のどん底に向かいそうで楽しみだ。
 もっとも、『電撃文庫MAGAZINE(マガジン)』2010年9月号の「@HOME」を読むと、ダークサイドでないええ話で、藤原祐氏の別の方向性も感じるな。ホワイト藤原が爆誕したのか、それともここから黒くなるのかもしれんが、どっちにせよwktk

煉獄姫 (電撃文庫)

煉獄姫 (電撃文庫)