瀬尾つかさ『くいなパスファインダー』(一迅社文庫)

 『円環のパラダイム』と同じ世界での別の地球人グループのお話。《学校》メンバーに比べるとずいぶんとポジティブでこの世界に馴染んでるけど、力と冒険心を持つものにとってはそういう世界なのだな。

「われら共に、お嬢さまに身も心も捧げております。お嬢さまに聞こえないところで陰口を叩くなど言語道断、夢にも思いませぬゆえ……」
「でしたらっ! 聞こえるところでも悪口を叩かなければよろしいでしょう!」
「それは難しい相談でございますな……」

 あとがきによると、最初から『円環のパラダイム』は一巻完結、同じ世界で違う雰囲気で本作、という出し方で想定通りのようで、一人シェアードワールドというか、各作品が世界全体を構成する一部になるのが、そのまま《欠片》とゲートワールドの関係に相似構造なのね。こういう形でのシリーズ化ってのも面白いな。次はまた違う切り口から違うメンバーの話、そしてそれが積み重なってやがて大きな話になるのかな。楽しみだ。

くいなパスファインダー (一迅社文庫)

くいなパスファインダー (一迅社文庫)