細音啓『氷結鏡界のエデン 4 天上旋律』(富士見ファンタジア文庫)

 なんかいろいろと聞き覚えのある固有名詞やら二つ名*1が出てきて、更に新キャラも投入。どうやらハーレム展開にするつもりはなかったようで。しかしカラー4ページ目ですでにバレてるとはいえ、あまりにもバレバレな「不良ぶってる実は良い人」がかえって新鮮。しかも華宮に握られてる秘密がそれかよ。お前は昭和の学園もので主役を張る不良学生か >ヴァイエル。
 しかし、世界の真相やら裏で動いてる陰謀やらのでかい話と、訓練生の忙しい日常のお話しが、微妙に噛み合わずバラバラに進んでる気がしないでもないな。それとも次巻で、全員で陰謀の地へ赴くことで一気にまとまって展開する下ごしらえなのかしら?
 あと相変わらず気になるのが、技術とか社会の仕組みとかに関する記述がおおざっぱなこと。例えば、武器庫でどーのこーのという「いい人エピソード」、これだけ市民の安全を巫女の沁力と護士に依存した社会で、天結宮をむしろお役所仕事過ぎるほどシステマチックに描いて、でも補給とか整備はあんな描写って、どうにもアンバランス。*2 それとも、「この社会が細部から綻びはじめてる」と言うことを暗示するエピソード?

*1:エイダのファンとしてはあの称号が出てくるだけでwktk

*2:正規軍を舞台にした仮想戦記で、「ただし補給・調達はマッコイ爺さんが頼り」と書かれたら、きっとこんな気分になるに違いない。