上遠野浩平『ヴァルプルギスの後悔 Fire3.』(電撃文庫)

 目眩く超展開、何がなにやら二転三転。しかし最終的に読み合いでも裏の掻き合いでも、そして精神力でも、騒ぎに参加するすべての存在と勢力よりも凪の方が一枚上手であったのですな。前巻カバーの幼いお姿から一転して凛々しくなって、まぁ、これがほんの数日間の出来事を書いてるお話に登場する同一人物のイラストだなんて、読んでる読者ですら信じられねぇよ。
 しかし魔女って、存在のあり方やら認識能力はともかく、パワーとメンタリティは結局のところ現実の範疇にあるものなのか。虚空牙さんぐらいにぶっ飛んだ何かだと思ってたんだが、やっぱこの世界ではそんなものよりもラストのエピローグが示唆してるように、人の心の中にあるものこそが最強で最恐で最凶なのだな。