寺本耕也『超能力者のいた夏』(メディアワークス文庫)

 奇妙な味のお話しと見せかけて実は青春ど真ん中直球もの。悪くはないんだけど、微妙に、なんというか、アンフェア感? いや、ミステリーじゃないんだからフェアでなきゃならないという理屈はないんだけど、物語上で必要になったタイミングで、必要な能力を持ち必要な使い方をわきまえたキャラが現れる。いわゆるご都合主義がちょいと過ぎるんではないかな。その割には恒久的なダメージが残ったり救われず放りっぱなしのキャラがいたり、主役二人の心理面以外は投げっぱなし。ご都合主義的展開が多いのに予定調和に落ちついてくれない、その辺のバランスが、残念ながら俺の趣味には合わなかったみたい。

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫)

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫)