支倉凍砂『狼と香辛料(15) 太陽の金貨(上)』(電撃文庫)

 コルと分かれて二人っきり、ホロが久々に乙女モード。そして「地上の天国」の裏には為替レートに関わる謎が。終盤というか最終回間近に来て、原点回帰っぽい雰囲気。が、途中から、なんか有り得ないほど幸せな大団円ムードが漂ってきて、すれた読者としては、どこでどうどんでんがひっくり返されるか、かえって不気味さが募るほど。きっと何かがおこるに違いない、何かマズいことに繋がる伏線をどっかで見落としてないか、必死で頭を捻る気分が、気がつくと第四幕ラストのロレンスと相似形なあたり、見事に作者の狙い通りに踊らされる読者である。
 そしてラスト2ページ、来たよ!!!