神坂一『アビスゲート 3 楔を穿つ淵の使者』(富士見ファンタジア文庫)

 2年と3ヵ月ぶりな第3巻。それだけブランクが空いて、独自のややこしい設定を持つシリアスなお話しで、なのに前巻を読み返さないとついていけないようなことは一切なくサクサク状況を理解でき、なおかつ読者に地の文の解説が多いとか説明台詞ばっかとか思わせない。なんとも、実に達者なもんだよなぁ。
 で、お話しのほうは、なにやら黒幕やら真相っぽいものが見え始めてきたようで、正直なところ繋ぎの1冊。この雰囲気だとあと1〜2巻? ま、なんにせよこの作者のことだ。今この次点で俺程度の読者が予想できる結末に持ってくような素直な展開だけはあるまい。どーか、えげつなく真っ黒で絶望的な恐い真相が、願わくばなるべく早い時期に読めますように。