松浦晋也のL/D: はやぶさ2に向けて、最後のお願い

 日本国民が望む宇宙開発とはどんなものだろうか。
 アメリカにお客様として乗せて貰う有人飛行ではない。
 機密保持を理由に、役に立っているかどうかすら国民に開示されない、情報収集衛星でもない。
 今になって測位信号の受信強度がどうのこうのと、最初に立てたコンセプトの筋の悪さを取り繕う議論をしている準天頂衛星でもない(そもそも準天頂衛星は2000年前後のコンセプト検討時点で、検討に参加した技術者ほぼ全員が「技術的に筋が悪いからやめろ」と主張していた)。
 ましてや、5年のはずの開発期間が10年になり、開発費は2倍かかり、上げるペイロードすら定かではないGXロケットでもない(霞が関界隈で、「何機上げたらIHIを納得させて計画中止にできるか」などという軽口が出てくるロケットの開発を続けていること自体がふざけている)。
 真に望むのは、未知の世界を探り、確実に「この世界」に対する知見を増やしてくれる、そんな宇宙活動なのである。

 もちろん俺の趣味としてはたかだか年間数百億で済むことなら科学探査がんがんいけ、*1 ではあるんだが、本当に広くそれが望まれてるのかについては、残念ながらそこまでの民意があるとは言えんだろ。あくまでもワイドショーで分かりやすく頑張ってる様子が見られる限りにおいて、だろうな。

*1:もう一桁でも何とか、もう二桁といわれるとさすがにちょっと引く、かな。