補足とか言い訳とか蛇足とか

 急にページビューの増え方が加速したんで何ごとかと思ったら、ライトノベル雑誌の現在とこれから - 雲上四季本の値段はどう変わったか(予告) - 一本足の蛸昨日のエントリをご紹介いただいておりました。ありがとうございます。
 何せ注目を集めることに慣れてないチキンな上に構想5分データ収集30分執筆15分の思いつきエントリですので、言わずもがなの言い訳その他をちょこっと。
 まさかそんな方はいらっしゃらないとは思いますが、あれを説得力を持ちうる論証だと思わないでくださいね。何せ書いた動機は「俺の嫌いな笠井潔氏がなんか良いことを言ってるみたいに紹介されてんのが気に入らん。ケチつけたれ」ですから。もちろん書いた内容に嘘はないつもりですが、一晩経って冷えた頭でざっと思いつくだけでも、以下のツッコミどころがあろうかと思います。

サンプリングの母集団が自室にある発掘可能な本って、客観性ゼロだろ
手軽で検証可能なデータソースとなると、オンライン書店の商品データや出版社のカタログなどが考えられますが、これらには共通した問題があります。「初版発行は何時か」「現在or最終増刷時の価格はいくらか」は分かりますが、初版時点の価格や最終増刷の時期が不明です。つまりここで欲しい「ある時点でいくらだったか」について、ある程度以上古いもののデータ源としてはあてになりません。そのためにはMARCが古くから整備されている図書館のデータにアクセスするか、いっそ図書館に籠もって現物に当たるかする必要があります。が、なにしろ執筆動機が↑の通りですので、そこまで手間をかけて検証する気力はありません。
サンプルのジャンル選択って、なんか根拠あるのかよ
あえて言えば、元エッセイで笠井潔氏が文芸書しか問題にしてなかったので、*1 文芸書プラスアルファでよかろう、ってとこです。例えば豪華な美術書とか、大量生産されては読み捨てられるHow toもの新書とか、鈍器として使えそうな学術的ハードカバーとか、それぞれに違う傾向があるでしょうね。あと、今朝になって、我が家にある発掘可能な書籍の中でも、異なる傾向を見せるものがあることに気付きました。新書版コミックスです。なんと21年間で1.05倍。どうやら小説業界に比べ、マンガ業界はかなり不遇なようです。*2
  発行年 形態 ページ数 (税抜)価格 ページ単価
ゆうきまさみ『究極超人あーる 1』小学館 1986 新書 184 360円 1.96円
椎名高志『絶対可憐チルドレン 11』小学館 2007 新書 189 390円 2.06円
そもそもいくつかのサンプルを例にして計算、で良いのかね
元エッセイが「出版業界全体」みたいな話をしてるんですから、むしろ文芸書の総発行点数と部数と売り上げを元に、一冊出すといくらの印税が入るかを計算したほうがよいのかもしれません。けどそれって、サバ読んでないデータを長期間にわたってさかのぼれるんでしょうか? ちょっと俺には見つけられませんでした。
物価水準との比較はどうなっとんねん
検索して総務省統計局にはたどり着いたんですが……長期間にわたる物価の推移って、どのデータをどうつなぎ合わせたら出てくるのか、訳が分かんなくなっちゃいました。あと、社会実情データ図録 Honkawa Data Tribuneさんなんかもなんかヒントがないかと思ってうろうろしてみたんですが……挫折しました。

 ということで、あくまでも「話の種」としてお読みいただければ、そしてできればもっときちんとした検証やより面白く発展させたエントリを読ませていただければ、望外の幸せです。m(__)m

*1:彼を一般的な文芸作家と称して良いのかはまた別……げふんげふん。

*2:もっとも、雑誌掲載時の原稿料がそれを埋め合わせて余りあるほど高額であるとか、実は印税率はアップしてるんだとかいう可能性は否定しきれませんが、どうなんでしょうね。(昨今は見直しが進みつつあるらしい)伝説によれば、手塚治虫の漫画家としての個人収入は虫プロの赤字を埋めるに足るものだったらしいとのことですが……