林トモアキ『ミスマルカ興国物語 III』(角川スニーカー文庫)

「(略)あなた方と違って私たち文官は、その『卑怯』と呼ばれるほどの優位を築くことが仕事なもので(略)」

 いや格好良い。どこの旧文明後期のロマンか政治劇か。アクションだのレースだのより陰険合戦のほうが100倍面白い。せっかくパリエルがなんか吹っ切って目覚めたっぽいのに、楽しくてしょうがない陰謀対決にはやっぱりそれでは役に立たんのだなぁ。
 しかし徹底して「悪人」を出さない作者だな。雑魚の盗賊なんかはともかく、名前のあるキャラが全部真人間に見えてしょうがない。あえて言えば国王とエミリオ店主ぐらい? それともやはりマヒロかな。p.191の発言はちょっとヤバい。魔眼王の目つきよりもヤバい。ま、判断はちょっと底が知れないんで置いとくけど。