林トモアキ『戦闘城塞マスラヲ Vol.5 川村ヒデオの帰還』(角川スニーカー文庫)

みんなで楽しく盛り上がってきたんですから。最後の最後で、そんな悲しい結末は認めません

 素晴らしいクライマックス〜大団円でございました。鈴蘭だの勇者だのマリアクレセルだのと前作・前々作の連中が良いところで目立ってどうしようかと思ったけど、やはり最後は魔眼王が盛り上げて締めて、ついでに落としてくれました。エピローグに出てきたあの人やらあとがきで発表された驚愕の新構想やら、更にサービスとお楽しみも満載だし。うん、やっぱ娯楽作ってのはこうじゃなきゃいかんよね。
 あと、テーマ的には良い台詞は↑なんだけど、今巻でいちばん燃えたのは(台詞じゃないけど)↓ですね。やっぱどんぞこのどんぞこまで行ったところで、一筋の光、そして反撃開始、って、最高に燃えますよ。

つまり今、ヒデオの耳にアーチェスの言葉はこう聞こえたのだ。
殺さねばならぬほどの核心を衝かれたにもかかわらず、取り逃がした……!!

 しかしこれを思いつきと場当たりで描いたと言われても、やはり信じがたいものがあるな。伏線を回収してサブキャラや小エピソードを拾ってこうまで見事に大団円って、やはりこれは未来視の魔眼で着地点を見とおしているに違いない。いや、周囲にそう信じ込ませるだけのハッタリ力こそが作者とヒデオの共通点なのか……