大森望・日下三蔵[編]『虚構機関―年刊日本SF傑作選』(創元SF文庫)

 まだ中身は読み切ってないけど、序文の日本SFの総合的な年次傑作選は、筒井康隆編『日本SFベスト集成』以来三十二年ぶり、解説の本書以前に唯一、年鑑として刊行されたのが、筒井康隆の年度別『日本SFベスト集成』シリーズと、ハヤカワ文庫JAから出てた『S-Fマガジン・セレクション 1981〜1990』の10冊は無視されてるのね。俺的には、あれでアンソロジーの楽しさに目覚めたようなものなんで、無かったことにされると寂しいなぁ。
 てか、解説ではその2ページあとで『S-Fマガジン・セレクション』に触れて、かなりの程度、年鑑としての性格を備えたシリーズと評してるんだが、どうやら『S-Fマガジン』限定だったのが気に入らないっぽい。網羅してなきゃダメってんなら「SFの定義」を確定させた上で国会図書館に籠もって、一年間に納本されたあらゆる公刊物の中からその定義にかなうものを抜き出さなきゃ「年鑑」と名乗れないのかしらね。それともひょっとしてこれが、噂に聞くSFファンダムのややこしさに起因するものなのかしら? だとしたらなんとも、面倒くさそうな世界じゃのう。