瀬尾つかさ×2

瀬尾つかさ『白夢 放課後の霧使い』(富士見ファンタジア文庫)

霧使いのみなさんが、ほとんど理解してないってことがわかりました。モノに名前をつけただけ、現象に名前をつけただけなんですね

 あぁ、こういうセンスは好きだなぁ。そして滅多にお目に掛かれない(気がする)んでより一層素敵。『クジラのソラ』でもそんな気はしてたが、実はこの作者、バリバリに理詰めのハードSF(嗜好|指向)で、でもそれをレーベルカラーに合わせて上手くカモフラージュして、ついでに「小学生みたいな」キャラ贔屓の皮を被ってるんじゃなかんべか。
 もっとも皮だけにしても、キャラもいちいちそれぞれ好みだわ。好みを見透かされてる感じもするくらい。とりわけ、ドラマガの短編のトナさんが……作者の狙いどおりに踊らされてるような気はしないでもないんだが、可愛すぎるなぁ。
 で、あちこちの感想を見て回った感じでは、順調にパワーアップしすぎ、話がホイホイと展開しすぎ、ってな意見が多いようだけど、これ、最後に覗き込んだところから次巻へはガラッと超展開をしていく、そのプロローグにまる1冊使っただけなんじゃないのかしら。パワーアップも説明過多も話のスムーズすぎる展開も、それぞれ「次巻以降の舞台で生き延びるための最小限の準備」「この巻で説明しとかないと次巻でガラッと状況が変わる」「学園と山の話に一応の区切りをつけとく必要がある」と考えれば、それなりに筋が通ってるような。『クジラのソラ』での話の規模の膨れあがり方を考えれば、そのくらいのことはやりかねん作者だと思うなぁ。

瀬尾つかさ『宇宙をかける少女 上巻』(一迅社文庫)

 で、こっちは、見てないアニメのノベライズだからか、それともまだ上巻だからか、なんかいろいろと置いてきぼりにされた感じ。はじけっぷりが足りないように感じられるのは、忠実なノベライズだからかしら? 果たしてクラスメートに出番はあるのか、待て下巻。

白夢 放課後の霧使い (富士見ファンタジア文庫)

白夢 放課後の霧使い (富士見ファンタジア文庫)

宇宙(そら)をかける少女〈上巻〉 (一迅社文庫)

宇宙(そら)をかける少女〈上巻〉 (一迅社文庫)