いまいち×2

丸山英人『夜と血のカンケイ。』(電撃文庫)

 「隙間女(幅広)」が非常に良かったんでかなり期待してたんだが、確かに設定とキャラ配置の斬新さは更に上手を行ってるものの、そこまで。間延びしている上に文章の切れが悪いというか、地の文のテンポが……何か説明して「なのだ」「であった」でシーンチェンジ、が多すぎ。普通はもうちょっと変化をつけたくならんもんかしら。*1 

 これでキャラが魅力的ならそれでも良かったんだが、残念ながら人間のほうは共感不能な有り得無さで、人外のほうは人外にしても心境の変化が唐突すぎ。「お前はこれまで何人の血を吸ってきたんだ?」と聞きたくなる。せめてロッカー事件を心境変化のトリガーにしておけば、かなり印象が変わったんじゃなかろうかしら。

山本弘, 玉越博幸『魔境のシャナナ 1』(BUNCH COMICS)

 なんつーか、いろんな意味で「心はいつも15歳」の人ですな。「15歳の、15歳による、15歳のための物語」をうっかり読んでしまったおっさん的には、お腹いっぱい。もたれすぎて消化不良。きっと15歳の時に読んでいたら、作者を神と崇めていたに違いない。

*1:「夜根」(p.40)だの「脳がない」(p.59)だのの誤字もかなり脱力ものだったが、まぁこれらは作者じゃなく校閲のせいだということにしておこう。