宇宙戦艦はなぜ白い - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常のぶくま※の続き。

 距離見積もり以前に、そもそも光学探知と熱探知のどっちが優勢になりそうかだな。光学探知可能な距離ってのは当然ながら光源から受ける光のうちどれだけを索敵側に反射したかで決まるわけだから、宇宙船が光源から受ける光の総量より発する熱が有意に大きければ、(波長域によりセンサーの感度に大きな違いがない限り)熱探知のほうが有効なはずだ。
 モデルケース地球と宇宙船と太陽が正三角形を描く位置関係で、宇宙船の1000mの球ぐらいの大きさでそもそもどれだけの放射を発するか≒宇宙船の機関出力+その位置で受ける太陽からのエネルギー。その位置で受ける太陽からのエネルギー=地球軌道における太陽定数×直径1000mの円の面積≒1366W/m2×500×500×π≒1e9W。
 宇宙船の機関出力はどう見積もったもんかな。とりあえず米国のニミッツ級原子力空母が260,000 shp (194 MW)、つまり1.94e6Wってことは3桁上がると↑の数字に匹敵するのか。21世紀初頭における地上最大の軍艦と未来の1000m級宇宙戦艦が機関出力で3桁しか違わないって事は……まず無いだろうな。ニミッツ級をざっくり全長300m、全幅と全高50mの直方体とすると体積比だけで1000倍以上698倍。*1 これに謎の未来兵器と宇宙航行能力と乗員の生命維持機能とが加わるんだから、なんぼ未来宇宙戦艦のエネルギー効率が高いとしても。
 もちろん太陽から受けるエネルギーだって、表面を鏡面加工どころかスペクトルの全帯域を完全反射する謎素材にしない限りはある程度は吸収され、その分も最終的には熱として放射するしかないわけで、それと機関出力を足した分、オーダーとして最低ギガワットクラスの熱を発することになるわけだ。
 うーむ、やっぱり宇宙船側では熱処理が最大のネック、索敵側では赤外線の広域観測が最善の手、ということになるのかな。すると宇宙戦艦のキーテクノロジーは、謎動力炉でも謎エンジンでも謎兵器でもなく、「特定方向に収束して廃熱できるデバイス」or「ともかく大量に蓄熱できる冷媒ならぬ熱媒」みたいなものになりそうだ。うん? でも前者はなんとなく熱力学第2法則に反するような気がするし、後者もそれ自体が放射するだけみたいな気はするなぁ……
 ……てな事を「独自研究」でうだうだ書くくらいなら、『航空宇宙軍』を読め、といわれそうな気もしてきた……

*1:球の体積の公式間違えてた、恥い。