大森望[責任編集]『NOVA 1』(河出文庫)(反転部ネタバレ)

 創元が「年刊日本SF傑作選」を刊行する中、今度は河出から「書き下ろし日本SFコレクション」とは!!! しかも続刊の予定あり、編集後記によれば角川文庫から日本SFのテーマ別再録アンソロジーも出るとは。なに、何が起きてるの? 序文で編者が今ふたたび夏の時代を迎えているとか書いてるが、信じていいのね。まさか「蝋燭は消える前にひときわ輝く」状態じゃないよね。

藤田雅矢エンゼルフレンチ

 これは綺麗で良い話。ファンタジーノベル大賞や童話賞を取ってるSF作家さんか。コバルト文庫に書いてた頃の若き夢枕獏を連想したりして。こんなテクノロジー(ワームホール航法と自己増殖機械と過去への電波送信)があるんならもっと面白く捻ったこともできそうなのに、とかついつい思ってしまうんだけど、そういう方向に走るとこの味は出せないよなぁ。

山本弘「七歩跳んだ男」

 ミステリということなんで迂闊な感想は書かないことにしよう。いかにもこの人らしいネタ。しかし改めてこうして書かれると、いわゆる「名探偵、皆を集めて『さて』といい」ってのは結構嫌なもんだな。真相を見抜いてるのにあえてまずミスディレクションについて説明し、さもそれが成功したかのような幻想を真犯人に抱かせ、それからどん底に突き落とすんだもの。

田中啓文「ガラスの地球を救え!」

 「人類圏」最新作。愛は地球を救う! 素晴らしいSF愛にあふれた怪作。だけどペガッサ星人は巨大船団じゃなく宇宙都市だよぅ。