野村美月『“文学少女”見習いの、傷心。』(ファミ通文庫)

「……あなたには、そうなのね。けど、心に闇を抱くものには、きっとこの小説は毒だわ。幸せな日々なんて長くは続かない……偽りの夢だと知っている怪物には……」

 そうかそうか、ときどき読み進められなくなって途中で閉じ、しばらく経たないと再度手に取ることができなくなるのは、こっ恥ずかしくなるからではなく、このシリーズが俺にとって毒物だからなのだ。などと思わずキモい自分語りをしそうになるほどに、毒物というか劇物というか古傷にダメージを的確に加えてくる一冊であった。
 なんかいろんな人が再登場して驚いたし今回も太ゴシックが誰なのかにはすっかり騙されたが、実はこの外伝はななせさん救済編でもあるらしいってんだから、あの人は予想しておくべきだった。てか事前には出てくるかもと思わんでもなかったんだが、さすがにあの出演の仕方には意表を突かれたり。
 それと、キツい一言を投げるためだけに出演させられたかのような竹田さんが不憫だと思ってたら、ちゃんと短編でフォローされてるのはさすが。あの流くんが精神安定剤として機能してるのね。
 自分用メモ:次巻が出たら読む前に『穢名の天使』を再読すること。

“文学少女”見習いの、傷心。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、傷心。 (ファミ通文庫)