田名部宗司『幕末魔法士―Mage Revolution』(電撃文庫)

 ちょっと不思議なテンポ。謎のタネを明かす過去話やら黒幕の会話をこのタイミングで挟んでくるか。謎解きを話のメインに据える気はてんで無くて、あくまでキャラの強さとバトルをメインに持ってきたいってことなんだろう。とすると、読んでる途中では「いっそ『男装の麗人』要素を取っ払って架空歴史小説に徹した方がスッキリするんじゃ無かろうか」とも思ったりしたけど、実際にはあとがきにもあるとおり作者の意図は逆で、どんなネタの話であろうともまずはラノベ的要素(主にキャラ萌えとバトル)がてんこ盛りに入ってなきゃならんのだろうな。*1
 とまぁ、面白いには面白いんだが、嘘歴史構築の面白さとラノベ的面白さが別々にあっていまいっちょ調和してないような、ちょっと引っかかりが残るな。ま、Mage=明治=髷というアホな発想自体は楽しいので、次巻以降で上手くこなれて調和することを期待。

幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫)

幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫)

*1:もっともラストバトルに「燃え」要素が足りん気はする。彼のデタラメな強さというか怖さを演出するためなんだろうけど。