カサハラテツロー『スコペロ 3』(MFコミックス フラッパーシリーズ)

フッ……前時代の発想ね
宇宙空間が死の世界? 冗談じゃない
我々は宙に浮かぶ巨大な宝箱 「月」を手に入れたのよ すなわち膨大な鉱物資源と氷−−つまり水と空気−−の「カタマリ」
(中略)
18世紀の産業革命でイギリスが欧州の優位を揺るぎないものにしたのはなぜ!?
第二次大戦後 焦土のようだった日本が数十年後に世界に冠たる経済大国になったのは!?
21世紀の初頭 中国が世界経済を左右するまでに発展した理由は!?
(中略)
それは地球環境をもおびやかすほどの大量生産と大量消費です!!
宇宙開発以前より物価が5倍になり給料が8倍になったのは 「月」の資源で品物をどんどん作りどんどん捨ててるからなの!!

 ずっと「このコロニーの形状、力学的に『あり』なのかも知れんけど無駄が多いよなぁ」とか思いながら読んできたんだけど、清掃局局長のこの大見得で目からウロコ。なるほど、現実の宇宙開発や、古くは「冷たい方程式」から最新の『アステロイド・マイナーズ 1』までの、俺の好きなタイプの作品がほとんどそうなんで、すっかり「宇宙はリソースにシビアで、ちょっとした無駄が人命等の重大な損失に繋がる」という固定観念が出来てたわ。背景の時代と技術と環境条件*1によっては、こういう「消費は美徳」な世界だってありだし、そういう世界なら少々スペースが勿体ない使い方をしてるコロニーぐらい、なんてことはないんだよな。考えてみれば、2巻で出てきた「宇宙海洋コロニー」なんて代物すら存在し得る世界なんだし。

*1:常に「月」とカギ括弧付きで表記されてることからして、せいぜいが徳山ダム1つ分に比較されているところの、我々が月と呼んでいる地球の天然の衛星と同じものじゃないかも知れないわけだし。