河野裕『サクラダリセット 2 WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL』(角川スニーカー文庫)

 なんともまぁ複雑怪奇なことを。要は一冊まるまる、ケイに能力のあの使い方を思いつかせるためにあったわけか。それにしても、表面的には良い話っぽくおさまってるのに実になんとも読後感がゾワゾワする。未来をいじくれる系の能力ってのは使われる側的には最悪の気分だな。再演大系に操られた魔法使いの気分だわ。
 で、感想は正直、前巻と同じなんだよな。これは良いね。雰囲気とかもそうなんだけど、全ピースが最後にカチッと嵌る感じが。綺麗に嵌りすぎて次巻が心配になるくらい。今巻の話に最適化されすぎてて他の話に馴染まないんじゃないか、と。しかし、綺麗な雰囲気でまとまってるんで「白」タイプの人だと誤解しそうになるけど、ラストの作戦は最低だよな。実はこの作者、本性はかなり「黒」なんじゃなかろうか。と8ヵ月前に書いたものの一部を消せばそのまんま。実に見事にピースをかっちり嵌めた上で黒い。スワンプマンの話をしといてなおかつ次巻で実際にやっちゃうんだろうな。しかもやる側もやられる側もそれを十分に理解した上で。実に嫌な話になりそうだ、早く読みたくて仕方がない。