高殿円『プリンセスハーツ 〜君は運命の人だからの巻〜』(小学館ルルル文庫)

 うわ、前巻をあの引きで終わらせておいて短編集とは、なんという焦らしテクニック。いや、面白いんだけどね。すっかりキャラクターの性格や立ち位置が定着したシリーズならではのお遊びの数々ってのも。ま、お遊び短編のふりをしつつ、ケティクークとオースの話は、そのまま次の巻の頭にネタ振ってありますそろそろ鈍いジルさんも自覚の大波が来る予定とのことなんで、見かけほど番外短編ではないようではあるし、ともかく「月色賛歌」が可愛すぎて文句の付けどころがすべて蒸発してしまう。それと、巻末の「SERIES NAVI」は有り難い。やっぱ長期化したシリーズ、特に刊行間隔が空き気味の作品には、こういう企画を義務づけたい。

プリンセスハーツ~君は運命の人だからの巻~ (ルルル文庫)

プリンセスハーツ~君は運命の人だからの巻~ (ルルル文庫)