人類よ宇宙を目指せ、地球にとどまれば絶滅 ホーキング博士が警告 国際ニュース : AFPBB News

 前にも似たようなことを感じたけど、やっぱ、「専門外のことについて大所高所からものを言う専門家」になっちゃってるような。物理学に詳しいからって工学的センスがあるとは限らんのだな。
 記事の見出しだけを見たときには、「一箇所に固まって住んでたらなんかのときに全滅しかねないから、『種の拡散』を」というお話しかと思って、「おおっ」と思ったのだが、人口増なり資源の有限性なり地球環境の変動に対応するため、ということなら話は別だよな。人口増をなんとかできるほどの人数を他の天体上の居留地スペースコロニーに移住させたり資源不足をなんとかできるだけのものを運んできたり居留地/コロニーを安定させたり他天体をテラフォーミングしたりできるほどのエネルギーや資源や宇宙航行能力や環境制御能力があるんなら、それを地球とその近辺に集中的に投入すれば、もっと簡単になんとかなるんでないの? というか、そのどっちがお得かの比較抜きには結論は出ないと思うんだが。

 なぜにこういう揚げ足とりをするかというと、SF者の端くれにして人類のミーム存続こそ最優先論者としては、地球外移住の理由の

  1. 人口増や資源不足や環境変化への対応
  2. 一箇所に固まってたらいざという時ヤバイ

という2つをきちんと区別したいからだな。地球外へ移住したい理由が前者であるならば、広義の経済的優先度の問題として、もっとお得な手段があるんなら地球外へ出る必要は必ずしもないことになるし、後者が主たる理由なら、少々損であってもリスクヘッジとして地球外進出は必須ってことになる。感染症アウトブレイクや大型天体の衝突は確率の問題だが、太陽活動の変化と終末は時間の問題なんだし。
 また、この両者の違いは、地球外居住地の自立度がどこまで必要か、という点にも関わるんだよな。前者であれば、複数の人類居住地が相互に密接に依存していても特に問題はないけど、後者であれば、少なくとも人類の生活圏全体の中に「そこがやられたら人類全滅」というクリティカルポイントが存在してはマズい。つまり各居住地がそこそこ自給自足に近い状態にあってほしくなるわけだ。

追記

 Hawking 博士曰く「今後一世紀のうちに人類は宇宙へと移民しなければ滅亡する(かも)」 - スラッシュドット・ジャパンによると

私は遠い将来、人類は宇宙に進出しなければならないと考えている。今後 1000 年、100 万年いった長いスパンでは言うまでもないが、100 年間のスパンで見て、地球上で発生する大災害を回避することは難しいのではないだろうか。人類はすべての卵を 1 つのバスケット、1 つの惑星に入れておくべきではない。バスケットを落としてしまう前にその負荷を分散させれば、バスケットを落としてしまうことは避けられるはずだ。

とのことで、むしろ「種の拡散」的な問題意識の方が主であるっぽい。が、それならそれで、#1808103の突っ込みが的確すぎる。