壁井ユカコ『五龍世界(WOOLONG WORLD) 霧廟に臥す龍』(ポプラ社)

 自転車や活動写真やアイスキャンディーと、方術や龍人が同居する不思議世界、なのはよいとして、ユギの口から「プライド」というカタカナ語が出てくる(p.112)のにはさすがに違和感。「自負」とか「誇り」じゃマズい理由もなさそうだし……
 が、読み進むうちにそういうことが気にならなくなって引き込まれていくのはお見事。ユギの啖呵には思わず拍手喝采。いやぁ、いつものように、男どもよりも遙かにヒロインが一番男前である。しかしまさかあの人があれで退場してそれっきりになるとは思わなんだ。まぁ主人公の力量的に一冊で片づけられる相手ではないんだが。ということで速やかなる続刊を希望する。ま、あんまり速筆な作者ではないような気もするが、とりあえずそこそこ売れ行きも良いそうで、100%とは言い切れませんがたぶんおそらく続編は出せそうな感じな雰囲気な風味だそうなので、ちょっと安心。

五龍世界(WOOLONG WORLD)―霧廟に臥す龍

五龍世界(WOOLONG WORLD)―霧廟に臥す龍