GLOCOM forum 2005 - ネット上での表現の匿名性/存在の匿名性をめぐって

 とっても興味深いのでちょっと多めに引用。暇なときにまとまった報告を探そう。


Internet上においては大量の情報が流れていて既に人間の情報の認知限界を超えてしまっているため、今後、場合によってはAmazonのレコメンドサービスのような、個人情報(ここでは購入履歴など)を渡す代わりにおすすめの書籍やCDを選んでくれるなどの『世界の複雑さを縮減する』(宮台真司氏の表現)サービスを利用しないとまともに社会生活が営めなくなる可能性がある。そうなるとそこでは『存在の匿名性』を守ることは不可能になる

ここでこの議論に対し面白い話を持ち出したのが白田氏。同氏は「このような議論こそが、実は近代における国家概念の成立過程そっくりである」と語り、近代国家では出生届や住民登録など「国家に個人情報を渡す代わりに、国家が人間関係の複雑さを縮減してくれる」機能があり、その国家が暴走するのを止めるために憲法や議会政治など様々なシステムが生まれたと指摘する。

白田氏は「たくさんのLittle Brother(個人情報を断片的に保有する私企業など)がいるような現在の社会よりは、むしろ完全に非人格化されたBig Brotherの方がましかもしれない」と述べたほか、東氏は「(非人格化されたものは)もはやBig Brotherと呼ぶべきではないが、車の免許などはそのメタファーとして考えられる」と語る