細音啓『氷結鏡界のエデン 3 黄金境界』(富士見ファンタジア文庫)

 黄金の人のあれ、色と性質を規定して呼び出すって、やっぱ名詠式を彷彿とさせるよな。いよいよ前作とリンクしてくるのかしら? しかしそれ含め、まだまだお話しは序盤、という雰囲気がひしひしと。ひたすら伏線やら過去に何かありそうな会話やらがばらまかれまくり、収束の方向はまるで見えず。大長編になるのかしら。ま、面白いのでOKなんだが。前巻ではほぼ噛ませ役だったイーシャとジンがおいしい役どころで再登場するあたり、『詠使い』でもそうだったように、脇役まで含めて生み出したキャラを愛してる様子がよく分かって微笑ましい。そういやエリエとユトも、1巻の時点ではこれっきりのキャラになるかと思ったんだっけ。
 しかし、変なところが気になる。万年の使用に耐える電子時計でなく、数年おきに電池を入れ替えるネジ式時計とな??? この世界の技術体系に関する奥の深い設定の表出なのか、世界観や詠唱に比べて技術面は深く考えずに書かれてるだけなのか、さて、なんなんだろう。