川口士『星図詠のリーナ 3』(一迅社文庫)

 読み始める前に川口士さんのさらに新たな本格ファンタジー作品なども始動中。先月の『桐野くんには彼女がいない!?』も好調というのを見て、ひょっとして一作家一レーベルで3シリーズ同時展開とかやるの? これってひょっとしてかなり珍しい記録かな、あ、成田良悟氏@電撃文庫という怪物がいたか、とか思ってたら、なんと、ラストに「完」の一文字が。このキャラたちの

「色仕掛けってのは、色気のあるやつがやるもんだ」
「私たちにはないと言いたいの?」

こういう会話が読めるのはここまでとな。なんというか、思い切ったことをやるもんだ。↑の編集者ブログの様子を見る限り、売れ行き不振で打ち切りとかいう雰囲気ではないよな。「星図詠とは」「あの腕どうするの」あたりについての糸口がようやく出そろい、世界の謎とかまだ全然解き明かさずの段階であっさり? と思ったけど、よく考えればそうでもないのか。作者は設定を書きたいわけでも世界を描写したいわけでもなく、「こんな変わったお姫様がいました」というお話をしたかったと考えれば、リーナという人物の姉との関係が整理されダールとの内心の方向性が固まった時点で、書くべきものは書ききった、という見方もありか。
 とはいえ、もっと地図が埋まっていくさまを見たかったよぅ。すでに次の執筆予定は固まってるみたいだけど、それが一段落してからでも、第二部とか、せめて外伝とか、このキャラたちとこれっきりって、寂しいなぁ。

星図詠のリーナ〈3〉 (一迅社文庫)

星図詠のリーナ〈3〉 (一迅社文庫)